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添加剤特集

Additives feature

新連載 樹脂用添加剤・配合剤ガイドブック

第2回 プラスチックス用添加剤

ポリマーテク研究所 葭原法

1.添加剤の種類

プラスチックスに使用される副原料である添加剤も、少量ではあるが製造加工工程、あるいは製品性能に重要な役割を果たす必須なものである。表に示したように、添加する目的も多種多様で、その種類およびその数は極めて広い範囲にわたる。大きな分類でも、成形性改良剤、強化材、改質剤、機能性付与剤、安定剤などがある。

成形加工法により、それぞれ加工可能な溶融粘度範囲があり、成形加工用の重要な添加剤に粘度調節剤がある。樹脂の分子量調節による粘度調節範囲を超えた場合でも、添加剤により可能となる成形法も多々ある。また結晶核剤や離型剤のように生産性を高める添加剤もあり、生産性や生産コスト改善に有効な添加剤である。

強化材の効用は、強度が改善されるのみならず、剛性があがり変形が抑制される。また強化材は、機械的性質の改善のみならず、熱変形の面から耐熱性や吸水寸法変化を抑制する大きな作用も有する。エンジニアリングプラスチックスにとってはたいへん有用な添加剤のひとつである。

樹脂の官能基に配位結合や水素結合することにより化学的に親和性を有する添加剤の作用により、樹脂の結晶構造や分子間結合を調節し、物性の本質的な改質効果を有する添加剤も知られている。金属の合金のように、プラスチックスにおいてもポリマーアロイにより複合材を超えた改質が行われている。この場合、ポリマーアロイの相手材は添加剤の一種と言える。

プラスチックスは、一般に電気絶縁体であるが、導電剤の添加により、導電性や制電性が付与され、電磁波シールドのような機能も付与されうる。また、プラスチックスは、一般に絶縁体であり、発泡剤を添加して加工することにより、熱絶縁性を飛躍的に増して利用される一方、近年熱伝導性を高めた配合剤により、放熱性のよいICケース用材料もある。このように、添加剤の種類を選べば、全く逆の性能が付与される。したがって、高範囲の物性を持つ材料が、ひとつの樹脂から提供される。すなわち一つの樹脂のグレード展開により、応用範囲を大変広くすることが可能となる。

表1

プラスチックスは、使用環境により科学的に劣化し物性が低下する。使用中の物性が、要求性能を下回ると寿命となる。劣化を抑制し寿命を延ばす添加剤は、安定剤と呼ばれる。安定剤には、熱分解を抑制する耐熱安定剤や酸化分解を抑制する酸化防止剤、光劣化を抑制する耐光剤、加水分解を抑制する加水分解防止剤などがある。安定剤の選定と添加量の選定で、要求寿命まで要求品質を保持できるかどうかが樹脂配合設計のポイントである。コストを考慮すると、カスタマーグレードというより、用途毎のプロダクトグレードが適切と言える。

2.配合剤処方における考え方・注意点

要求性能とベース樹脂の性能をそれぞれ対比していくと、未達の品質項目は通常多数になる。そのそれぞれの品質改善にそれぞれの添加剤が必要になるが、その添加剤が、他の品質を低下することは多々あるから、それぞれの添加剤について、効果と同様にマイナス効果についても十分把握しておかなければならない。

(1)添加剤の耐熱性

一般に添加剤を樹脂に溶融混合して、成形加工するから、添加剤は溶融加工温度は十分耐える耐熱性が必要である。熱可塑性樹脂の場合は、加工温度に対する短時間の耐熱分解性が必要である。一方、熱硬化性樹脂の場合、成形品は高温で長時間使用される場合が多いので、使用温度で長期耐熱性の面から選定しなければならない。添加剤の熱分解生成物が、樹脂の劣化を促進することも多いから、添加剤の耐熱性は選択の重要ポイントである。

(2) 添加剤と樹脂の反応性や親和性

添加剤によっては、樹脂と化学反応するものもある。特に溶融加工時の高温や光や通電を受ける使用環境条件においては、反応は起こりやすいから、添加剤の化学構造や酸・塩基性度を把握しておく必要がある。また、添加剤の凝集エネルギーや表面エネルギーは、樹脂との親和性と関係して添加剤の分散性や接着性に影響するから、選択の尺度のひとつになる。親和性の小さい添加剤は、使用環境でブリードアウトしやすく、表面性や外観が悪くなるから、選択するには注意が必要である。逆に、ブリードアウトの性質を利用して、潤滑性を上げることや、安定剤の効果を上げることもある。

(3) 添加剤間の相互作用

いろいろな添加剤が添加されるから、樹脂と個々の添加剤間のみならず、添加剤間の相互作用もたいへん影響する。臭素系難燃剤と金属酸化物のように、その相互作用が、助剤的効果を示し、相乗効果を応用することも期待される。逆に、相互作用でそれぞれの効果を打ち消しあう拮抗作用により、効果が失われることもある。個々の添加剤を選択する場合、相互作用を考慮して選択することと、選択後に組み合わせて評価することが必要である。

3.法規制対応

添加剤の選択にあたっては、法規制の対応が当然必要である。添加剤にもすでにいろいろな添加剤が配合されていることも多々ある。添加剤の成分すべてが、化学物質の審査および製造等の規制に関する法律(化審法)に登録されていることが必要である。また、毒物および劇物取締法や消防法の指定物質かどうか把握して、指定物質の場合はその対応が必要である。また、特定化学物質の環境への排出量の把握、及び管理の改善の促進法(PRTR法)や労働安全衛生法の指定物質かどうか把握して、その対応が必要である。法規制の指定物質を添加する場合は、製造工程や製品の取り扱いにおいて対応する必要がある。添加剤の製品安全データシート(MSDS)を確認することと、それを添加した材料や製品のMSDSや製品への表示を検討しなければならない。特に、グローバル対象の製品においては、それぞれの国家の法規制に対応する必要があるから、添加剤メーカから十分な安全情報を入手して、選択することが必要である。

4.添加剤の分散性

添加剤の効果は、一般にその分散性に依存する。製造工程や製造条件により、分散性が異なることが多々あるから、効果を評価する場合、分散性も考慮して置かなければならない。樹脂との相性で分散性のよい添加剤を選択することが基本である。添加剤の分散性を高めるために分散剤を併用することもある。分散性を改善することで添加量を低下することができるから、コストのみならず添加剤による物性低下の抑制も期待される。