樹脂の劣化機構
BASFプラスチック添加剤部門の第1回コラムのタイトルは「樹脂の劣化機構」です。
みなさん「樹脂の劣化」と聞いてまず何を思い出されますか?
いとも簡単に割れてしまうベランダの洗濯ばさみでしょうか?
所々が白化して今にも壊れてしまいそうなバケツでしょうか?
それとも変色・褪色してしまった公園のベンチでしょうか?

これらはすべて「プラスチックの劣化」が原因となり、発生する現象です。さらに「プラスチックの劣化」を引き起こす要因としては、熱、光、機械的作用、電気的作用、放射線、薬品、微生物、水分、大気とその汚染物質など様々な要因がありますが、その中でも特に重要かつ身近な要因として、熱、光、水分があげられます。今回のコラムではプラスチックの熱による酸化劣化機構について簡単に説明します。
まずは、下記の図で示されるプラスチックの熱による酸化劣化機構(自動酸化劣化)をご覧ください。

ポリマーの構造を模式的にR-Hで表しています。ポリマーの溶融加工時には、熱エネルギー、機械的剪断力、触媒残差などの影響により、R-Hの分子結合が切れてR・(アルキルラジカル)が発生します。そのR・(アルキルラジカル)は、押出機中にわずかにでも存在する酸素と速やかに反応しROO・(パーオキシラジカル)に姿を変えます。そしてそのROO・(パーオキシラジカル)はポリマー分子中にある別のR-Hと反応しR・(アルキルラジカル)を発生させ、自らはROOH(過酸化物)に変容します。この一連の化学反応を劣化機構におけるCycle Iと呼びます。
上記にて発生したROOH(過酸化物)は室温では比較的安定(相対的に安定)とされていますが、押出機中においては、再び熱エネルギー、機械的剪断力などの影響によりO-O結合が切れてRO・と・OHというラジカル種の発生原因になります。そしてRO・と・OHというラジカル種はポリマー分子中の別のR-Hと反応し更なるラジカル種を発生させます。この一連の化学反応を劣化機構におけるCycle IIと呼んでおります。上記の酸化劣化機構(自動酸化劣化)が鼠算式に進めば進むほどプラスチック、ポリマーの初期特性(初期物性、外観含む)は損なわれその価値を著しく失いますので、プラスチックの各種特性の維持において適切な酸化防止剤の使用が強く推奨されます。
次回第2回コラムのタイトルは「フェノール系酸化防止剤の作用メカニズム」です。どうぞお楽しみに。
本記事はBASFジャパン株式会社様にご提供いただきました。
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